母の日に...望郷の念 〜 日本に帰りたい
北米生活も15年半になった私ですが、実は望郷の念は強く、いつもいつも日本に帰りたいという気持ちがあります。
元々、30代半ばで単身で、仕事でこちらにきて、そのまま個人移民してしまいましたが、stayとliveは、違うなぁと実感していた日々でした。
いずれは日本に帰るという状況下(stay)は、毎日が本当に楽しいけれど、それが、生活(live)になってしまうと、やがては色あせてしまいます。それが帰りどきなのでしょうが、折角移民したのでもう少し・・・と、帰りどきを考えていたころに、こちらで主人と出会い、結婚することになり、結局、帰りそびれてしまいました。
帰りたいのは、やっぱり年老いた両親のことがあります。二人とも80代前半ですが、お陰様で、まだまだ元気です。
ただ、あと一体何年一緒にいられるでしょうか。遠く離れていると、あと何日一緒にいられるかというレベルです。
私の仕事の関係で、今は、一年半に一度、二週間弱帰るのが精一杯なので、本当はもっと傍にいて、一緒に旅行をしたりしたいです。私がリタイヤしたら、数ヶ月とか帰ることはできますが、その頃に両親が元気で、一緒に旅行ができるかどうかも分かりません。
帰りたいと思わせるもう一つの要因は食べ物です。特に和食。歳をとればとるほど、和食が恋しいです。パンなんて食べたくないです。やっぱりご飯。
最近は雑誌読み放題で、いろんな雑誌に目を通しているので、和食関連やレストラン紹介の記事をみると、強い望郷の念がぐぐぐっと押し上がってきます。絶対にここでは食べられないものばかりです。
食べるのが大好きで、20代後半〜30代前半まで、自称グルメの私は、東京の(当時は数少ない)レストランガイドのお店を次から次へと訪れるのを趣味としていました。
私が住んでいる都市は、北米の中でも大都会で、日本人経営のジャパレスもたくさんありますが、やっぱり日本で食べる和食とは違います。素材の差なのでしょうか。レベルの差でしょうか。
ここでは、和食、洋食、どこにいっても、なかなか美味しいものには巡り会えません。望郷に満ちた心が満たされないから、何を食べても美味しくないのでしょうか。
食べ物に加えて、こちらで長く生活し、仕事もしていますので、言葉の問題はありませんが、はやり、日本人との繋がりをとても恋しく感じます。言葉を超えた、同じ言語、文化で育った繋がりですね。
外国生活! すてき、羨ましい・・・と言われることがあります。
幸い、ダブルインカムで、経済的にも恵まれ、優雅とはいえませんが、不自由のない生活をすることができます。
主人は、とても思いやりのある優しい人で、経済力も経済観念もあり、頑固なまでに正直者で、家事は私より上手で(実際私よりやってます)で、不満はまったくありません。
でも、その外国生活だからこそ、満たされない部分(= 日本に住めない)があるのです。母国を離れて初めて分かる、母国の素晴らしさ。
勿論、帰ったら、帰ったで、こちらの生活が恋しくなるかもしれません。
でも、こちらでの10年以上の長い生活を終えて帰った同年代の親しい友人たちは、みんな日本でハッピーです。
みんな、悩んで、悩んで、そして帰って行ったのです。
主人に先立たれたら、私は、すぐにでもこちらを引き払って日本に帰ります(といっても、主人には長生きして欲しいですが)。きっぱり。
じゃあ、それが何歳だったら、日本に帰るのか、こちらに留まるのか・・・を考えることもあります。何せ、こちらを引き上げ、日本で新生活を始めるのは、老人には大仕事ですからね。両親も他界しているでしょうし。
60代だったら帰ります。
70代、元気だったら帰るかも。
80代、もうこちらで骨を埋めるかも。でも、ぴんぴんしていたら帰るかも。
これが私の妄想です。
さて、私の終の棲家はどこなのでしょうか。
主人に手を取られて死ねぬなら、どこでもいいかな・・・。